top of page

2

.

分析と統合の違い

分析(アナリシス)


分析、いわゆるアナリシスと呼ばれている仕事はInput(インプット)とProcess(プロセス)が事前に決まっていて、Output(アウトプット)が何になるかを調査にする。


予め決められた材料をもとに、決められた手順に則って特定の作業を行うと、目的とする結果が出てくるようになる。


分析とは分けることであり、違いを識別することである。

漏れなくダブりなく分けることが重要になる。


[Input]〇 ==> [Process]〇 ===> [Output]?

※上記の?の部分が、分析によって求めるべき結果である。


分析の仕事内容が複雑であればあるほど、「何のInput(材料)が必要であるか」や「どのようなProcess(手順)が必要となるか」は当初は曖昧になっている。


仕事を進める中で徐々に具体化して明らかとなる。逆に、当初から明確にInputとProcessが決まっているほど、単純な分析作業と言える。


例としては、「明日の天気を予測すること」が該当する。

明日の天気を完璧に当てるのは技術的にとても難しいが、明日の天気の予測のために収集する情報と収集した情報を分析する方法はすでに固まっている。


Inputとなる情報は様々な計器のデータ、Processは収集したデータの分析方法(様々な分析手法やシミュレーション)、Outputは明日の天気、ということになる。精度は一旦脇に置き、作業自体の複雑さの尺度でみると、単純な分析作業として分類することができる。


明日の天気の予測を現行の分析方法よりも正確に行える新たな分析方法の開発は、「分析」の作業ではなく、次に紹介する「統合」の作業に該当する。


統合(シンセシス)


InputとOutputを先に決めて、InputをOutputに変換するProcessを設計・実装することを「統合」と呼ぶ。Process部分がシステムに該当する。


[Input]〇 ==> [Process]? ===> [Output]〇

※上記の?の部分が、統合によって求めるべき結果である。


Inputの種類としては、大まかに物質、エネルギー、情報の3つがある。

Outputの種類としては、周りの環境に対して何らかの力を加える行動(物質的、エネルギー的、情報的な変化)、および排出する物質・エネルギー・情報がある。


周りの環境に対して何らかの力を直接的に加える行動は、身体を持っているシステムのみ可能となる。それ以外のシステムでは、後者の排出する物質・エネルギー・情報を通じて周りの環境に対して間接的に影響を与えることになる。


それぞれカバーする機能範囲が異なる要素(または部品)を、特定の目的を達成できるようにつなぎ合わせて1つの実体として形にすることを「統合(シンセシス)」と呼ぶ。


分析では、要素は漏れなくダブりなく(重複なく)洗い出すというのが原則であった。統合では、少しずつ機能が重なっている要素や部品に役割を与えて特定の文脈でつなぎ合わせるようにする。


統合の仕事が複雑であればあるほど、「何のInput(材料)が必要であるか」や「どのようなOutputになるか、どのような結果をもたらすべきか」は当初は曖昧になっている。


仕事を進める中で徐々に具体化して明らかとなる。逆に、当初から明確にInputとOutputが決まっているほど、単純な統合作業であるということが言える。


例としては、「次世代の宇宙船の開発」が該当する。

次世代の宇宙船を開発するために、「どのような燃料(Input)を使って動かすか」や「どのような結果を出すか(宇宙船を使って何をどこまでできるようにしたらよいか、どこへ行けるようにするのか)」(Output)については開発当初は曖昧になっている。


開発を進める中で様々な試行錯誤や実験を繰り返すことによってInputとOutputの詳細が徐々に固まっていき、最後はInputをOutputに変換するProcess(宇宙船そのもの)の仕組みを設計・実装することになる。


統合の仕事はモノづくりだけには留まらない。

企業全体のビジネスモデル(儲けを生み出す仕組み)を描いて、各部門の業務やITシステム群を統合して特定の目的のために協調できるようにする「エンタープライズ・アーキテクチャ」も、統合の作業によってつくられる。


複数システムをまとめるシステムであることから、「システムのシステム(System of Systems)」と呼ばれることがある。ちなみに、エンタープライズ・アーキテクチャを設計する職業である「エンタープライズ・アーキテクト」は2022年の米国職業人気ランキングで1位となったそうである。


システムズエンジニアリングは統合化の技術である。

工学でも医学でも、専門分化して細かく分かれると、先鋭化して新たな理論や技術を追究しやすくなる。


その代償として、全体最適の視点はなくなり、部分最適の視点でしか問題の解決策や企画を生み出せなくなる。木だけを見て森や山全体を見られなくなる状態となる。


複数分野にまたがった問題が起きたときには、ユーザーは専門家の間をたらい回しにされる可能性がある。他分野の専門家から無用な批判を受けないようにするため、あるいは自分のよく知らない分野に足を踏み入れて居心地が悪くならないようにするため、専門家はすみ分けをするようになっている。


学会などの団体も細分化された専門領域毎に存在している。ユーザーのニーズや事情には一切関係なく、完全に専門家の自己都合であると言える。


しかし、新しい価値をもたらす企画やインパクトのある製品を世に送り出すためには、分野をまたがったシステムをつくる必要がある。1つの分野の専門知識だけでは、つくり出せるシステムにはおのずと限界がある。


したがって、複数分野の技術を組み合わせてシステムズエンジニアリングの「統合」を行い、新しい価値をもたらすことを事業で目指すことになる。事業にはシステムズエンジニアリングは不可欠である。


bottom of page