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システムとは何か

私たちは普段何気なくシステムという用語を使用しているが、システムとは厳密には一体何なのであろうか。


システムとは、ある特定の目的を達成するために、外部との境界線を持ち、内部に存在する個々の要素が協調しながら機能する仕組みのことである。


内外を分かつ境界線が存在するため、境界線を通過するインプットとアウトプットが存在することになる。境界線の内部のことをシステムのスコープ(システムの範囲)と呼ぶ。


機械的なシステムもあれば、人間のような生命のシステムも存在する。機械よりも生命のほうがより複雑な仕組みになっている。


境界線が曖昧であるものをシステムとして扱う場合、疑似的に境界線を設定してコントロールを行うようにする。生態系や惑星としての地球などがそれに該当する。


人間をもとに、システムを考えてみる。


人間というシステム内外を分けている境界線は皮膚である。

皮膚の内部が人間のシステムであり、皮膚の外部が人間にとっての環境になる。


人間は外部から物質を取り入れ、体内でエネルギーに変換する。

エネルギーは体内の個々の要素に配られて、個々の要素が協調し合って人間全体としての動きを実現している。


個々の要素とは、心臓・脳等の部位だけでなく、究極的には1つ1つの細胞になる。個々の要素が緊密に連携し合って1つのシステムが構成されており、人間として機能している。


しかし、人間がつくる人工物では、関連するあらゆる要素を考慮してシステムを作り上げることはできない。人間の認知能力には限界があり、あらゆる細かい事物(極端な例では、1つ1つの細胞や機械の中の1つ1つの原子)までを含めてシステムとして扱うことには無理がある。


したがって、何かを省略し、何かに焦点を当てた上でシステムを具体化していくことになる。何を描き、何を描かないか。絵画の核心と通じるものがある。


競争戦略を決める際のトレードオフ選択も同様である。

何を選択し、何を捨てるかが本質的なことになる。


内部の詳細まで把握する”ホワイトボックス”と、内部のメカニズムまでは把握せずに外側の動きだけを把握する”ブラックボックス”の考え方にも通じるものがある。ブラックボックスであると判定された要素はシステムの外に位置づけられる。


システムを見える化する表記方法には様々なものが存在している。

代表的な表記方法が、米国の国防総省で開発されたIDEF0(アイデフ・ゼロ)である。


箱(ボックス)はシステム内部にある要素を示しており、左側から箱に入る矢印がインプットを表し、箱の右側から抜ける矢印がアウトプットを示している。また、箱の上部から箱に入る矢印は制約を意味し、箱の下部から抜ける矢印は必要となるリソースを意味している。


大きなシステムでは一つの要素をさらに分解して階層構造として表現することも可能になっている。上位の要素、下位の要素、という具合に表現可能である。


もう1つの代表的な表記方法が、IBMで開発されたIPO(アイポ)やHIPO(階層型のIPO、ハイポ)である。要素の分解図と要素に対するインプット・プロセス・アプトプットから構成されている。基本的な考え方はIDEF0と似ている。


さらに、”オブジェクト指向”と呼ばれる特定の「世界の捉え方」をもとにシステムを設計するために考案されたUML(ユー・エム・エル)と呼ばれる表記方法も存在している。UMLはソフトウェア開発の分野で普及していると言える。オブジェクト指向には様々な方法論が存在しており、表記法だけを統一したのがUMLである。


つくるシステムに対して相応しい表記方法を選択すればよい。


何かの目的を達成するためのシステムをつくり出すには、以下のことを定義する。


  • システム内外を分ける境界線を引き、システムの範囲を定義する

  • システムの境界線を越えるインプットとアウトプットを定義する

  • 個々の要素、要素間の相互作用を定義する


一度に上記の定義を完璧な形でつくり上げることは難しい。そのため、何かの仮定を置いて徐々に具体化して、1つのシステムの形にしていくのが一般的なつくり方になる。


絵を描くときも同様であり、最初は大まかな構図を決めて要素の配置を暫定的に決め、ラフに要素を描いて全体のバランスを確認できたら、詳細を描いていく、という流れになる。描いている途中でしっくりいかなくなったときは、再度構図に戻って検討し直すことも珍しくない。


複雑なシステムの場合はさらに手の込んだことを行う。シミュレーションを駆使してシステム全体やシステム内部の個々の要素の動きを予測したり、実際にプロトタイプをつくって動きを小さなレベルで確認したりする、ということを行う。


サグラダファミリアをつくる際も、地下室にある工房でこれからつくろうとしているオブジェのミニチュア版を予め彫って造形し、それを建物に付けたら全体がどのように見えるようになるかというシミュレーションを実施してオブジェのデザインを決定している。


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