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生命と戦略の誕生

地球上に最初の生命が誕生した過程は未だに謎に包まれていますが、最初に登場したと言われているのが原核生物です。
原核生物は、外部の環境を知るためのセンサーと駆動部が同じ細胞内にある生物のことで、動きが少ない、1つの細胞が全ての機能を持っている、という特徴があります。
原核生物の後に、センサーと駆動部が異なる細胞となっている多細胞生物が登場します。多細胞生物では細胞が分業制を敷いており、何かを行うための処理の効率が高くなっています。効率的に外部の環境に働きかけを行うことによって、効率的に栄養を摂取できるようになりました。
生物の身体は、細胞を維持するために外部の環境から物質とエネルギーを取り込む必要があります。人間においても同様で、食べ物を摂取してエネルギーに変換し、そのエネルギーをもとに様々な活動を行っています。
また、外部の環境の情報(例えば、「どこに食べ物があるのか」や「どこに天敵がいるのか」の情報)を知るためにセンサーを動かし、捕捉した情報に対して駆動部を動かし、身体を移動させます。
諸説ありますが、宇宙からの紫外線によって多細胞生物の体のDNAが傷つき、それがもとになって突然変異を起こして「目」の器官(視覚)が形づくられた、という説があります
(目を持った生物がカンブリア紀に出現して、そこから爆発的に生物が発展・多様化したと言われています)。目が生まれて発達したことによって、外部の環境の情報を素早く捕捉できるようになり、効率よく栄養を摂取できるようになって骨格や筋肉が発達していった、と言われています。それによって、「食う・食われる」関係や、他の個体との補完関係・協力関係等が日常化して、今日の私たちにも馴染みのある「生態系」が形成されていきました。個体が集団を形成して特定の目的を達成するようになる(例えば集団で狩りを行うようになる)のは高度化の一例です。
各生物は、生態系の中で生存の確率を上げるために、無意識的にせよ、「エネルギーの使い方」を決めて、「外部環境からの情報の取捨選択」を行っています。エネルギーの使い方とは、「どの身体の器官に優先的にエネルギーを回すのか(発達させるか・退化させるか)」や「どの活動に対してエネルギーを使うか」のことであり、「外部環境からの情報の取捨選択」とは、「外部環境から何の情報を意識的に取得し、何の情報を取得しないか(無視するか)」のことです。
「エネルギーの使い方」の例としては、「人間の尻尾と足」が挙げられます。太古の昔、人間は木の上で暮らしていましたが、そのときは今の猿と同じように、手や尻尾を使って木から木へと移動して木の実を食べていたと考えられています。しかし、その後、人間は地上に降りて暮らし始め、尻尾は退化して尾てい骨という当時の名残のみとなり、代わりに足が大きく発達して、やがて地上の獲物を狩猟するようになりました。
「外部環境からの情報の取捨選択」の例としては、「蝶の目」が挙げられます。蝶の目は、紫外線をリアルタイムで感知することができます。蝶は、紫外線の情報を取得することによって、植物のどこに蜜が存在しているかを、色で見分けることができます。蜜が存在する場所が、異なる色に見えるようになっているのです。従って、紫外線の情報は、蝶にとっては欠かすことのできない重要な情報であると言えます。一方で、人間にとっては、リアルタイムの紫外線の情報など、取得しても大した意味はなく、感覚器官のエネルギーの無駄遣いであると言っても差し支えないでしょう(もっと優先的にエネルギーを回すべき器官が他にあるという意味です)。
生物が進化する過程で、“何の情報を外部環境から取り込み、どのような行動を選択するか”が、自然界で生き残るために必要な手段、すなわち「戦略」の起源に相当します。