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弱者としての人類の戦略




自然界の中の人間は一体どのような過程を経て、発展を遂げたのでしょうか。


当初、人間は木の上で生活しており、木の実をとって食べて、命をつないできました。しかし、その後、何らかの大規模な事象によって、暮らしていた森から出て行かなければならなくなりました(一説には、「地殻変動によって暮らしていた森から食べ物がなくなった」とか、「他の種との縄張り争いに負けて、暮らしていた森から追い出されてしまった」と言われています)。

これが、人類がアフリカから出るきっかけになった、と言われています。


アフリカを出た人類は各地へと広がっていきました。その過程の中で、ネアンデルタール人と現生人類のホモ・サピエンスが現れます。

ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスと比較して、骨格や筋肉が発達しており、力において大きく勝っていました。また、脳においても、ホモ・サピエンスより大きかったと言われています。従って、狩りは単独でも行うことができ、効率的に獲物を狩ることができました。

一方、ホモ・サピエンスはとても非力であり、単独での獲物の狩りは難しい状況でした。そこで、ホモ・サピエンスはその弱点を補うために、道具を高度に発達させ、なおかつ集団での狩りを行うようになりました。また、集団での狩りを行う過程で言葉が高度に発達して、様々な情報をお互いに交換できるようになりました。弱点を起点にして工夫を凝らすことによって、集団として大きく発展したのです。


狩猟は、どの狩場を押さえるかによって取れる獲物の量が変わります。狩場の質が悪ければ、狩れる獲物の量も少なります。必然的に、狩場を巡って集団間の争いが出てきますし、良い狩場を押さえられなかった集団は、十分な狩りができなくなるため、新たな狩場、新天地を求めて移動しました。そのような集団の中から、農業に挑戦する人たちが現れました。


当初、農業(と思しき作物の栽培)が開始されてから数千年の間は、限られた種類の作物しか育てることができず、また安定的に生産できなかったため、狩猟を行う集団に比べて必要な栄養が十分にとれない、栄養不良の時期が長く続きました(近年の発掘調査によって、その事実が明らかになっています)。しかし、やがて農業技術のブレークスルーが起きて、多種多様な種類の作物を安定的に栽培・収穫・保管できるようになると、農業の集団が大きく発展して「王」と呼ばれる権力者が現れ、より組織的に行動できるようになりました。それと相まって、道具がさらに高度化・普及して、様々な用途に使用されるようになりました。


見てきた通り、人間は競争相手に対して大きく劣っていたことにより、「別の道を見つけざるを得ない状況」に追い込まれて、結果としてそのことが幸いして(紆余曲折を経ながらも)大きな発展を遂げてきました。それが人類の歴史であり、人類の戦略そのものであったのです。


これらの事例から現代の私たちが学べる教訓は、「弱者こそ戦略を持つべきであり、それによって未来への扉が開かれ、今の強者よりも大きく発展する可能性がある」ということなのです。

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